山田 一美 (著)
この本の撮影は夏のあつーい時でした。東京からスタッフみんなで静岡の磐田へ。そこで待っていたのはこの本の著者の一美さん。
一美さんは本格的な撮影は初めて、ということでした。でもね、驚くほど手際が良く、こちらのお願いもひとつ返事でさくさくこなし、なんだかベテランの料理研究家のようです。一日目、夕ご飯をいただきながら、スタッフみんなはなんだかうれしくなってしまって、
「絶対にいい本にしましょう!」
と再度硬く団結。2日目からはアシスタントをしてくださったお嬢さんとともに、さらにスピードアップ。
料理の撮影はスピードが速いからといっていい本ができるわけではないのですが、テンポがいいほうがいい写真になることが多いです。僕は撮影、そんなに遅いほうではありませんが、一美さんはしっかりとついてきます。
「本当に初心者???」
お嬢さんとのコンビも上々で、とにかく楽しい現場でした。
一美さんのパンはもともと家族みんなで生み出したレシピです。白くてもちもちなのも、ちぎって、パクパク食べられるのも、ぜーんぶ意味があるのです。
米粉のパンももちろんおいしいのですが、ご飯の食感をなんとなく残した、愛情一杯のパンは、おばあちゃん、おじいちゃん、ご主人と一美さん、それから娘さん二人と、お孫ちゃんの家族に支えられた、いわば家族の味でした。
撮影は一美さんち田んぼのそばにある、秘密基地(一美さんの工房)で行いましたが、猛暑の中、たまに吹く田んぼを駆け抜ける風がとても気持ちよかったです。なにより、田んぼで作られた米がごはんになって、それがパンになっていると思うと、なんだかうれしかったなあ。
僕は著者の先生やスタッフ全員が力を出し切って楽しく撮影を終えることに、とても言いようのない幸せを感じてしまいます。僕の仕事はほんとうにみなさんとの共同作業に支えられているんですよね。
それから、一美さんがつぶやいた一言、「頼まれごとは試されごと」という言葉。ある先生の講演会で勉強した言葉らしいですが、僕のハートにもどぎゅーんときました。人生おごらず、自分を決め付けず、素直にがんばりたいものです。
また大好きな本が一冊増えました♪
Kさん、Iさん、Nさん、もうたまらなくみなさん大好きです。幸せでした。ありがとうございました。