ごちそうスープ

ごちそうスープ

藤田 千秋 (著)

 ご飯の友達はみそ汁。パンの友達はスープ。漠然と持っていたイメージがくつがえりました。

 スープ自体がメインディッシュになり、そしてパンにもご飯にもあってしまう。文字通り、ごちそうスープの本。パンと一緒に食べて、その後ご飯とも食べて。そんなことを繰り返した一冊でした。体にも優しいしね。

 子どもの頃、レストランへ行くと、とりあえずの早い段階でスープが出る。決まってコーンスープだ。パンを食べながら、濃厚な味を楽しむ。残りが少なくなってくると、皿を傾ける。飲んだ後、スプーンを縦に置く。給仕の方が皿ごと僕の前からスープを片づける。まさにその瞬間、「大人じゃん」――そう感じる瞬間。洋食を食べるときの醍醐味。スープってそんな印象。その後のメインディッシュなんて、どうでも良かった。スープがかっこよく飲めれば。

 藤田先生のレシピはそんな堅苦しいスープではなくて、家で大好きな人や家族とふうふう言いながら食べる感じです。

 上のようなことを考えてしまっていた自分はなんて田舎者なのでしょうか。でもいい思い出かも。